チェイサーゲームWは面白い?テレ東初のレズビアンドラマ!

2024-09-02Sexuality

ドラマ「チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ」は2024年1月から2月まで各30分全8話で放送されました。テレ東初のレズビアンドラマであり、パワハラや元カノといったワードより放送前から話題に、台湾発のLGBTQ特化動画配信サービス「GagaOOLala」のGL/LESBIANジャンル1位を記録し、放送終了後にはイベントも開催されました。反響から同年9月にはシーズン2の放送も決定しました。

以下ネタバレを含みます。DVD&Blu-rayはこちら。

概要

ゲーム会社に務めるレズビアンの上司と部下2人の“恋愛”と“葛藤”を描いた復讐愛憎劇。テレ東では初となる“レズビアン”を主役にしたドラマで、レズビアンの監修のもと脚本を一から制作。「LGBTQ+」「労働問題」「セクハラ」など、社会課題にも鋭く切り込んだ【恋愛×仕事】ドラマの新境地を開く意欲作。 

ネットもテレ東

前作であるドラマ「チェイサーゲーム」はゲーム会社を舞台にした漫画「チェイサーゲーム」を原作とした仕事ドラマでしたが、今作はオリジナルストーリーで作成された今までにない内容になっています。

W主演による相乗効果の片翼を欅坂 46・櫻坂 46 の初代キャプテンであり、卒業後ドラマ初主演である菅井友香、もう片翼を若手実力派俳優の中村ゆりかが担っています。

ネタバレと感想

完全なネタバレというより気になった点を個人的な観点で記載します。

ゲーム開発会社に勤める春本樹(はるもといつき)の元に、取引先から新しい上司として元カノである林冬雨(はやしふゆ)がやってくるところからはじまります。

最初からセリフ、お揃いのイアリング、切り取られたツーショット写真と匂わせを超えた匂わせの連続で、「この二人が元カノなのね。タイトル回収。」と理解したところで、冬雨によるパワハラ行為の連発。さらに冬雨はすでに結婚して子どもの存在も発覚。

復讐愛憎劇というワードも飲み込めぬまま衝撃のシーンとなります。

冬雨が樹にキスするのです。その後、突き飛ばしたり、土下座したり、シャンパンをかけたり、ビンタしたり。

疑問でいっぱいのまま第1話が終わったところで、なんとエンディングでif世界線。

最終的には、このドラマは当事者や百合界隈で様々な反応に終着したと思われますが、第1話に同性のキスシーンが放送されるという点でSNS上で話題になりました。

二人の過去や、樹と冬雨の家族関係、二人に思いを寄せる登場人物たち、ゲーム開発の行方、と30分×8話しかないにもかかわらず、要素が多く飽きない反面突っ込みどころも多いような内容になっています。

第2話の見せ場であるお揃いのイアリングバキバキ事件は、冬雨の復讐だったのかもしれませんが、後悔するだろうし、口で言えない気持ちの裏返しでありながら、天邪鬼さが前面に出たシーンに思えます。

(クローズドレズビアンが職場でお揃いのイアリングを付けてツーショットの見切れ写真。。。)

冬雨はパワハラをするキャラと思われましたが、夫である浩宇への対応のモラハラ加減も強烈でした。

妻の冬雨の樹に会うために計画された日本への転勤(出張?)に付き合わされ、冬雨とその母親から冷たい対応をされた浩宇は限界を迎えたらしく家出をします。

樹は家事育児で困る冬雨にタイミングよく遭遇し、家に乗り込み、冬雨の娘である月に慕われる機会を得ます。

月の世話をするという大義名分から樹と冬は急接近することになるのですが、きっかけを与えたのが樹に思いを寄せる青山と冬雨の夫である浩宇なのが皮肉ですね。

紆余曲折あり二人は過去のすれ違いを話し合い解決します。

樹は冬雨の母親から中国では同性愛者は幸せになれないから別れるように言われ、冬雨に本当のことを隠し、「ものたりない」という言葉とともに青山との浮気を演じ、一方的に別れを切り出していたのです。

樹は冬雨の幸せを願い別れを切り出しながらも一途にお揃いのイアリングを付け続けていた。

冬雨はショックのあまり帰国、浩宇と結婚し月を生んでもなお樹のことが忘れられず来日。

悲しすぎる両片思いでした。

思いが通じたので寄りを戻してハッピーエンドとはなりません。ドロドロとした展開になっていきます。

冬雨は結婚をしているので、樹と冬雨は不倫関係になります。

前半はパワハラ上司=私の元カノ=冬雨でしたが、後半はパワハラ上司でもなければ、元カノではなくカノジョ(不倫)となります。

パワハラ上司を担うのが中国からやってきた冬雨の上司である呂部長です。パワハラを超えたモンスター上司です。

呂部長に対してあまり強く出られない冬雨と、冬雨のため呂部長に反発して手を出す樹。

終業後にカフェで公開デートをするクローズドレズビアンカップル。

樹のことが好きなあまり後をつけキスシーンをしっかり撮影する青山。

冬雨は浩宇に樹との関係がばれてしまい、レズビアンと告白する一方で、月のためなのか、不倫した負い目を樹に背負わせないためなのか、当初の覚悟からなのか、浩宇との関係を再構築することを宣言します。

会社でも樹と冬雨は関係を告白します。

ゲーム開発は順調になったものの、樹と冬雨は離れ離れになる決断をします。

もう、離れない。好き。愛してる。忘れない。

恋人たちの言葉って真実でありながら、未来を約束するものではないんですよね。

最後のシーン。いつものカフェで働く樹のもとに冬雨が現れ復縁をほのめかしシーズン1は完結となりました。

アウティング問題。4年も一緒に発言から、4年の冬に別れたなら、浩宇は速攻年下に手を出したのか問題。など気になりましたね。

面白い?レズビアンドラマとしておすすめできるか

面白さは人それぞれだろうという感想しかない。深夜の低予算ドラマだと感じさせる雰囲気が多い絶賛するのは少々難しい。

最初は樹役の菅井友香の演技から不慣れなかたさを感じる場面も多かったが、樹というキャラクターの不器用さを表現したと受け止めることもできる。学生時代に一方的にフッた元カノが職場に現れたときの正解の表情はこの世に存在するのか、確かにあの表情が正解にも思えてくる。冬雨を大切に思う表情などはとてもよく、反響を生んだ原因に思えた。アイドルとしての経験も理想を演じるというスキルであり、役をつかんでからの振る舞いは完璧なのだと思える。

樹のキャラクターとして、冬雨になにをされても次の日には何も起きていないかのような振る舞いは、同性愛者であることを隠す中で自分の気持ちや反応を隠すことになれているからともいえるかもしれない。しかしながら、理不尽に対する反抗はしっかりとするので、少しよくわからない。自分のことはどうでもいいが、チームや仕事はしっかりするという仕事人間になることで出世したのかもしれない。

中村ゆりかの演技は安定しており、バリキャリの仕事人間、パワハラ上司に加え、母としての顔や、樹に対する悲しさや愛しさの表情など、一つの役の中で様々な一面を持ちながらも冬雨というキャラクターが構築さえていった。

冬雨のツンデレで仕事ができるが、樹への思いが駄々洩れなところはとても人気を集めた。

冬雨が社内評価を見ながら産休がなければという言葉により、専業主夫というルール運用でも子を産むことは女性が担うしかない現実から、専業主婦で夫が仕事だけに集中して出世するのと同様にはならないということが明示された。

同性婚できない現状、異性と結婚して生きる道を選ぶ人は多いし、既婚で子どもがいるが出会いを探している人もマッチングアプリや掲示板にいる。その点非常にリアルではあったものの、レズビアンドラマがあまり存在しない状態で既婚を選んだ当事者の不倫を描くのは驚いた。不倫ドラマの人気から不倫というキーワードでPRする手段もあったと思われるが、そうしなかったのはあくまで過去両思いであった二人が社会状況によって別れるしかなかったからであり、最初から最後まで恋愛感情としては浮気もしていないのだと受け止められる。

同性で子をもつことへのハードルはまだ高く月の存在は二人の障壁になりつつも生きがいになり得ると感じた。同性愛を扱った作品だと悲観的結末となるものも存在するが、月の存在は二人をその道へは進ませない安心感を与える。

最初から浩宇に説明した上で家族になっていたら、全員幸せになれると思えたがそうではないらしい。

だれがターゲットなのか

このドラマのターゲットはだれなのか。どのような層に人気なのか。

SNSの反響や中国雑誌から海外の人に人気があると思われる。GagaOOLalaのランキングから、中国、タイ、ベトナムなど、アジア圏に広く認知されているようである。

このドラマ以前からの菅井友香と中村ゆりかのファンと、チェイサーゲームwをきっかけに二人のファンになった層。原作のチェイサーゲームや前ドラマのファン。マイノリティ当事者。GLを好む層など。

役者のファンからすると、GL(BL)ドラマはイメージが強く好意的ではない人も多い。前作や原作チェイサーゲームのファンとしては、お仕事場面が少なく物足りないという感想も見受けられて。マイノリティ当事者からすると、無理やり別れて、本心を隠した異性との結婚や、不倫、アウティングなど、心穏やかではない。海外のGL作品はひたすら平和な二人の世界を描くものも多いのでそこからも少しずれているように思う。

チェイサーゲームwが好きな人はチェイサーゲームwが好きなんだと思う。突っ込みどころというか余白(シーズン2への布石だったかもしれない)がある点。

何より樹と冬雨が菅井友香と中村ゆりかでなければ、シーズン2となることもなかったかもしれない。また、二人のオフのエピソードも盛り上がりを支えており、シーズン1からシーズン2までクールダウン期間がほとんどない。

チェイサーゲームwを最初から最後まで見て、樹と冬雨(菅井友香と中村ゆりか)という存在を好きになり、結末を踏まえたうえで2回目を視聴すると、都合の悪いことは思考せずに、樹と冬雨が可愛いと思っていたら終わるので、一気見できる配信やDVD&Blu-rayが楽しむにはベストに思える。

DVD&Blu-rayについて本編が約190分でありながら、特典が約130分とのこと。特典内容はいつ×ふゆファンイベントとその裏側、いつ×ふゆ(菅井友香と中村ゆりか)のスペシャル対談と、主人公(主演)の二人のファンをターゲットとし、動画配信サイトとの差別化がしっかりとされている。公式がCP名称を使うのもなかなか新鮮に思える。

シーズン2も大学時代の幸せな二人、空白の1年間、「もう、離れない。」(n度目の正直?)、第三の女の子登場など、すでに公開された情報だけでも盛り沢山で話題になっている。

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Posted by neruma